運動方程式
球状の物体が重力により落下しながら浮力と 空気抵抗 を受けている場合を考える。また仮定として、物体は単独で(他の物体があってもそれらからの影響を受けずに)運動しているとする。
このとき、物体の運動方程式は

となる。ここで、
- ρs :物体の密度 [kg/m3]
- ρf :空気の密度
:物体の体積 [m3]
:物体の運動方向への投影面積 [m2]
- u :物体の速度 [m/s]
- g :重力加速度 [m/s2]
- cD : 抗力係数
である。
抗力係数 cD は

と表される。ここで、Re は物体の速度を 無次元化 したレイノルズ数であり、

と定義される。この流れはレイノルズ数Re の範囲で
- Re < 2 :ストークス域(層流域)
- 2 < Re < 500 :アレン域(中間域)
- 500 < Re < 105 :ニュートン域(乱流域)
と呼び分けられる。
解
終端速度 ut は、運動方程式において左辺の加速度がゼロになったときの速度である(cD > 0 なら速度 u は t →∞ で収束する)から、この方程式を解けば

と求められる。特に Re < 2 の場合の解はストークスの式と呼ばれる。
抗力係数
抗力係数 cD は上述の通りレイノルズ数 Re によって変化するが、その関数形には様々な式が提案されている。
低速の層流域(ストークス域)で cD = 24/Re となることはどの文献でも同様であるが、その適用域には差があり、Re < 10 、Re < 0.5 、Re < 0.25 (JIS Z 8820-1)等がある。また極細粒粒子はブラウン運動によって不規則に動くため、適用域の下限も存在する。
比較的高速の乱流域(ニュートン域)についても多くの文献で同じであり cD = 0.44 である。適用域としては 500 < Re < 105 、103 < Re < 3×105 等がある。
中間速度域については上述の
(Allen)
の他に
(1 < Re < 3×103 、または1 < Re < 104 )
(1 < Re < 104)
(Bird)
(Schiller等)
等、様々なものがある。
Re > 105 を超える高速域では、ニュートン域の cD = 0.44 よりも抗力係数は下がる。これは固体表面の境界層が乱流に遷移を始めるためであり、これを利用すると抗力を下げることができる。マグヌス効果#ディンプルの効果の、抗力を抑える効果等に応用がある。