トマトケチャップ
100 gあたりの栄養価
エネルギー 498 kJ (119 kcal)
炭水化物
27.4 g
食物繊維 1.8 g
脂肪
飽和脂肪酸 0.01 g
多価不飽和 0.01 g
タンパク質
1.7 g
ビタミン
ビタミンA相当量
β-カロテン
(7%)
56 μg
(6%)
670 μg
チアミン (B1)
(7%)
0.08 mg
リボフラビン (B2)
(3%)
0.04 mg
ナイアシン (B3)
(9%)
1.3 mg
パントテン酸 (B5)
(6%)
0.32 mg
ビタミンB6
(5%)
0.07 mg
葉酸 (B9)
(1%)
5 μg
ビタミンC
(11%)
9 mg
ビタミンE
(15%)
2.2 mg
ビタミンK
(5%)
5 μg
ミネラル
ナトリウム
(87%)
1300 mg
カリウム
(10%)
470 mg
カルシウム
(2%)
17 mg
マグネシウム
(6%)
20 mg
リン
(5%)
36 mg
鉄分
(5%)
0.7 mg
亜鉛
(2%)
0.2 mg
(8%)
0.16 mg
セレン
(10%)
7 μg
他の成分
水分 66.0 g
水溶性食物繊維 0.6 g
不溶性食物繊維 1.2 g
ビオチン(B7 5.9 µg
酢酸 0.7 g

ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した。 
  • 単位
  • μg = マイクログラム • mg = ミリグラム
  • IU = 国際単位
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 ( RDIの割合。

ケチャップ(語源は、 ホーロー語 の「鮭汁( POJ : Kê-chiap/Kôe-chiap)」という魚醤をさす言葉である)とは、野菜キノコ、または 魚 などを原料にした調味料トマトを用いたものはトマトケチャップと呼ばれる。

トマトケチャップ

トマトケチャップは、現在ケチャップを代表するものとなっており、日本語で単に「ケチャップ」と言えば『トマトケチャップ』のことを指す。これは世界でも同じ傾向がある。

基本的なトマトケチャップの作り方は完熟トマトを加熱して漉し、さらに低温で煮詰めてトマトピューレを作る。それに、砂糖オールスパイスクローブシナモンなどを加える。玉ねぎセロリ、その他の野菜がしばしば加えられる。トマトケチャップは、ホットドッグソーセージオムレツハンバーガーフライドポテトなどの洋食にかけて使用される。日本やアメリカなどでは酢豚エビチリなど、中華料理に用いられる事も多い。

米国のトマトケチャップ消費量は4000万リットルで、世界のほかの国と比べ抜きん出て多い。一説によれば世界のケチャップ生産量の半分はアメリカの若年層により消費されている換算になる。使用目的は卓上調味料としてがほとんどだが、これを使って調合したバーベキュー用のソースは、醤油を使った テリヤキ ソースや 韓国 風ソースを引き離して今なお絶大な人気があり、アメリカを代表する味との声もある。

イギリスオーストラリアなどアメリカ以外の多くの国では酢が入っていないトマトケチャップをトマトソース、レッドグレイビー、レッドソースなどの名前で販売している。

日本でも好まれる調味料の一つであり、洋食には欠かせない。洋食にはトマトケチャップを加熱調理用に使う調理法が確立されており、チキンライスオムライスナポリタンなどトマトケチャップを使った日本独自のメニューがある。また、カレーライスのルーや味噌汁などに少量加えて味に深みを出すことも行われており、マヨネーズと練り合わせるとオーロラソース風のドレッシングとなる。

容器はアメリカなどでは瓶入りや逆さまにしておくことのできる硬質ビニール容器入りが多いが、日本においてはソフトチューブ入りのものが多い。日本においても1988年カゴメが「ニューケチャップ」の商品名でアメリカの製品同様に硬質ビニール製のものを発売したが、短期間で発売終了となった。消費者にチューブ入りのものが浸透していたこと、日本人のトマトケチャップの消費量はアメリカ人に比べて少ないことなどが普及に至らなかった理由とされる。 このほか弁当用など個包装のパック入り商品もある。ファーストフード店や露店商向けにケチャップを赤色、マスタードを黄色という一対の組み合わせにして容器がセット販売されている場合もあり、マスタードとの組み合わせで容器を折って開封する ディスペンパック の形態でも販売されている。

流体としての特性としては非ニュートン性を持つ非ニュートン流体(剪断速度に対して粘度が変わる流体:水やシリコンオイルは剪断速度に対して粘性は一定なのでニュートン流体)であり、急激な圧力を加えたり、かき混ぜると粘性が下がる。

歴史

語源

ケチャップという言葉がトマトケチャップを指すようになったのは近代以降で、それまでは魚介類キノコ野菜などを材料とする調味料を指した。1690年に出版された北アメリカの辞書 A New Dictionary of the Terms Ancient and Modern of the Canting Crew ( 英語版 )ketchup1699年に出版されたイギリスの俗語辞書 BE's Dictionary of the Canting Crew of 1699catchup という言葉が収録され、説明として「東インド奥地のソース(a high East-India Sauce)」と記されていた。「東インド奥地」つまり中華人民共和国南部から東南アジアの、魚介類の塩漬けを発酵させた液体(魚醤)の呼び名が、語源と考えられている。

閩南語台湾語では、小魚やエビ塩辛を kechiap、koechiap(鮭汁)と呼び、これがマレー半島に伝わって kichap、kecap と呼ばれるようになった。

マレーの植民地で kichap を口にしたイギリス人によりヨーロッパに伝わると、キノコトマトクルミなどを原料として catchup、catsup と呼ばれた。その後アメリカでトマトケチャップが普及し、現代のアメリカ英語では ketchup と表記するのが最も一般的となっている。

マレー語の「kicap」とインドネシア語の kecap は、現在魚醤以外に 大豆 の醗酵調味料である醤油の意にまで広がっており、むしろ今日では醤油を指す場合の方が多い。インドネシアでは、大豆と小麦を発酵させた甘いソースを作っており、ケチャップマニスと呼ばれている。

イギリスのケチャップ

イギリスのキノコから作ったケチャップ

これが伝わったイギリスではキノコの保存調味料( en:Mushroom ketchup 、キノコに塩を振り、2・3日置いてからしみ出た汁を香辛料と煮詰めたもの)が考案され、現在でもパイシチューに使用されている。その他の初期のケチャップはカキ、 アンチョビ 、ロブスターといった魚介類や、クルミインゲンマメキュウリブルーベリークランベリーレモンそしてブドウなど植物素材を材料とするソースが考案され、さまざまなスパイスが加えられるなどして変化しながらバリエーションを増やしていった。

トマトケチャップの誕生

やがてイギリスから伝わったアメリカで、当時ようやく食用とされ始めていたトマトを使ったケチャップが考案された。最古のレシピは1795年の "Receipt Book of Sally Bella Dunlop" とされるが、切ったトマトに塩を振り、2・3日置いてからしみ出した果汁を香辛料と煮詰めたもので、砂糖も加えていない(現在とは違い、調理中に隠し味として使ったと考えられている)。その後ハインツ社が1876年詰めトマトケチャップを販売し、広く普及した結果、ケチャップの代表になったといわれている。

カナダケベックではリンゴモモパイナップルを原料としたフルーツケチャップをミートパイにかけて食べている。

日本における歴史

日本のトマトケチャップは、明治期にアメリカから伝わったものが最初とされる。国産製品は1896年(明治29年)に横浜で清水與助が創業した清水屋が、1903年(明治36年)に製造販売を開始したという記録が横浜開港資料館所蔵の資料に残っており、これが最初の国産ケチャップであると考えられる。この清水屋ケチャップは、1913年南区で開かれた勧業共進会で銅賞を受賞し、 宮内庁御用達 にもなったという。

1908年(明治41年)には明治屋がトマトケチャップとマッシュルームケチャップの輸入販売を開始する。

同年にはまた、蟹江一太郎(カゴメの創業者)がトマトケチャップの製造販売を開始している。 当時の日本ではまだほとんど未知の食材であり、色も輸入品より悪かったため、同時に発売したウスターソースが好調な売れ行きだったのに対し、当初の売り上げは芳しくなかった。その後トマトケチャップを用いる料理の普及拡大、殺菌方法を変え仕上がりを改善したこと、積極的な宣伝などが奏功して急速に売り上げを伸ばした。

容器の変遷も消費拡大に大きな役割を果たした。発売当初はビール瓶に詰められていたため取り出しにくかったが、1957年に(他社に追随し)カゴメが広口瓶を採用し、スプーンで必要なだけ取り出せるようになったことで4年後には売り上げが2倍近くに増えたという。さらにその後ポリエチレンブロー成形したチューブ入りのものが発売され、使い勝手の良さから日本における主流となった。

トマトを主原料とするほとんどのケチャップは赤いが、原料を変えればケチャップの色も変わる。福井市に本社を置く企業「日々是(ひびこれ)」は、金色のケチャップを製品化した。マンゴーや黄色いパプリカレモンを材料としている。

フィリピンのケチャップ

フィリピンではトマトケチャップよりもバナナから作られる バナナケチャップ が主流である。またバナナケチャップの色は赤であるがこれは着色料によるものである。

逸話

1981年、レーガン政権下のアメリカ合衆国議会は、農務省に対して連邦公立学校の昼食基準について学校経費削減プランの提案を求めた。それに応じた農務省の提案の一つは、ケチャップを野菜として分類するというものであった。この提案は広く嘲笑の対象となり、結果却下された。

2016年アメリカ合衆国大統領選挙を経て大統領になったドナルド・トランプは、ウェルダンに焼いたビーフステーキにトマトケチャップをかける食事風景が話題になり、洗練された味覚とはかけ離れている、または素材を台無しにするといった批判を受けることも多いが、依然として外遊先の食事にトマトケチャップを用意させるなど、外交儀礼よりも自身の好みを優先させる方向性は改まることがない。

主なメーカー

世界的にシェアが大きいケチャップメーカーは、大消費地のアメリカに集中している。

  • ハインツ:(日本法人本社は東京都台東区
  • ハンツ ( 英語版 )
  • デルモンテ・フーズ ( 英語版 )

日本

千葉県
  • キッコーマン千葉県野田市)※製造は日本デルモンテ、販売はキッコーマン食品
神奈川県
  • インターフード (神奈川県横浜市
長野県
  • ナガノトマト長野県松本市
  • 丸善食品工業(テーブルランド)(長野県千曲市
愛知県
  • カゴメ愛知県名古屋市中区
  • コーミ(愛知県名古屋市東区
兵庫県
  • イカリソース兵庫県西宮市
和歌山県
  • ハグルマ和歌山県紀の川市
広島県
  • オタフクソース広島県広島市

注釈

  1. ^ 閩南語の方言字台湾語で、鮭もしくは「魚奚(魚偏に奚)」と記し ke または koe と読む。魚のサケとは無関係。
  2. ^ 広東語では魚を使ったソースを、マレー語の kichap にちなんで gipjap 喼汁 キッチャプ と呼び、トマトケチャップは kejap 茄汁 ケーチャプ と呼ぶ。さらに、濃い汁という意味で gitjap ギッチャプ という言葉もあるが、語源ではない。

出典

  1. ^ 21世紀研究会編『食の世界地図』文藝春秋・77P
  2. ^ 『しょうゆ世界への旅』(大塚滋、東洋経済新報社)は「茄醤(コエチップ・ケツィアプ)」と表記しているが、音が合わない。

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